現場や利用者への配慮が
導入成功の鍵に

広島県福山市
老人保健施設かなえ様

Q1

実施している介護サービスを教えてください

老人保健施設かなえは、「入所」「短期入所」「通所」「訪問」の4つのリハビリテーション機能を有した介護施設として、介護を必要とする高齢者の生活や自立を支援するために、多職種連携によるケアやリハビリテーション等を提供する施設です。

事業者情報
施設種別 介護老人保健施設
法人名 医療法人 永和会
施設名 老人保健施設かなえ
開設年度 1994年6月
所在地 広島県福山市金江町藁江550番1
リンク 医療法人 永和会

Q2

介護ロボットの導入のきっかけは何ですか?

2020年終わり頃に、インカム機器を導入しました。しかし、インカム機器を導入したものの情報共有が円滑にできていないことが課題としてありました。

先行導入のインカム機器が上手く活用されていない

そこで、情報共有の課題を解決するため、職員アンケートを取った結果、情報共有が上手くできていないことによって、ストレスを感じる職員が多くいるということが分かりました。

アンケート結果を元に、現場リーダーを中心にマンツーマンで対話を行い、スタッフの抱えている想いを引き出しました。その結果、スタッフの多くから、利用者の方へのケアの時間をもっと増やし、ケアの質向上に努めたいという声が大きいことがわかりました。

ケアの時間をもっと増やし、ケアの質向上に努めたい

Q3

介護ロボットを導入した結果はいかがでしたか?

インカム自体はすでに導入済みだったため、インカムを使うことで利用者の方の生活などにどのように役立てることができるのか、職員の働き方の変化などは?といった「考え方のトレーニング」に時間を要しました。

導入された介護ロボット
種類 見守り・コミュニケーション/介護業務支援
導入機器 Buddycom(バディコム) (株式会社サイエンスアーツ)
慣れるまでの期間 約2か月
慣れるまでの工夫

・使い方に関するルールの見直しと制定、それら規則を職員が理解し行動できるようにサポートしました。

・現場職員以外にもインカムを積極的に使用してもらうようにし、発信しやすい環境づくりに努めました。

導入効果について

  • スマートフォンにアプリをインストールするだけで使用可能なため、導入が簡単でした。
  • 離れた場所にいる職員にも一括で情報共有できるため、情報の婉曲も発生しづらく、時間と手間を抑えることができるようになりました。
  • その場にいなかったとしても、後から履歴を確認して音声を聴く事ができるようになりました。
  • インカム使用のルールを策定・実施したことにより、情報共有が上手くいかないことによる心理的負担に感じる割合が改善されました。(実施前比11%減)
  • インカム使用ルールを明確にし、実際どのように使用していくかの指導を根気強く行ったことにより、新しいテクノロジー導入による漠然とした不安が改善されました。(実施前比18%減)

問題点・課題について

  • ルールに関しては定期的な見直しが必要と感じています。職員が集まって意見を交換するための時間の確保が、課題となっています。
  • インカムを使用している人なら誰でも聞こえてしまうため、どこまでの内容を話して良いのか判断に困りました。(個人情報などもあるため)
  • ネットワーク環境の悪い場所だと、音声が安定して聞こえないため、情報共有が行えない場合がありました。
  • イヤホンを1日中装着して仕事をするため耳への負担が大きく、特に自分の耳に合ったイヤホンでないと、さらに負担増でした。

Q4

今後の課題や目標はありますか?

課題

まだまだ現場スタッフから声を上げづらい環境であるため、意見を伝えやすい環境を整備していく必要があります。

新しいテクノロジー導入の背景などを自分で考える力を身につけてもらう必要があります。

目標

目的を定めてテクノロジー機器を使用していくという経験ができたため、他のものを導入する際にも応用し、より一層利用者さんファーストのサービス提供に尽力していこうと思います。

Q5

介護ロボットの導入を迷っている事業所にアドバイスをお願いします

介護ロボット・ICT機器は、非常に便利なパートナーです。人材不足が嘆かれている、私たち介護業界にとってはまさに救世主とも言えます。

ただし気をつけていただきたいのは、どんなに性能の良い介護ロボット・ICT機器であろうと、それを使用する私たちが使い方を誤ってしまえば、利用者の方にとってもスタッフにとっても利益を生まないものになってしまうということです。

導入する機器を選定する時はスタッフ目線だけではなく、それを導入することにより利用者の方の生活や目標にどれだけ寄与できるのかを考えていく必要があります。

また、経営層や一部のスタッフが使いたいものを勝手に決めてしまうのではなく、現場全体から意見を吸い上げていく必要があると思います。なぜなら、自分が関わってもいないものを積極的に使いたいと思う人は多くないからです。自分の意見が採用されなかったとしても、自分が関わって決定されたものであるという事実が重要となってきます。

ですので、これから介護ロボットやICT機器を導入される事業者様には、「導入目的」「職員の参画」を意識し、導入・運用を行ってもらうことをおすすめいたします。

導入目的はトップから、明確に熱意を持って伝えることが重要です。職員の参画では、まず小さな活動から始めていき、成功体験を積み上げていきましょう。小さな成功の積み重ねが自信になった時、介護ロボットを十分に活用できる組織ができ上がっていると思います。